変形性膝関節症の症状を軽減するには、膝周囲の筋力強化や柔軟性の向上を目指してリハビリテーションを行うことが重要です。
変形性膝関節症のリハビリテーション(以下、リハビリ)を実施する際には、運動の方法や負荷量に注意して、膝への負担をかけすぎないように注意しましょう。
本記事では、変形性膝関節症のリハビリ内容と注意点、自宅でできる簡単なトレーニングをご紹介します。
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症とは、加齢や肥満などの原因で膝の変形を起こす病気で、保存療法と手術療法を中心に治療が行われます。
ここでは、変形性膝関節症の特徴と治療法についてみていきましょう。
疾患の特徴
変形性膝関節症は、加齢や肥満、O脚などの要因で膝関節のクッション材である軟骨がすり減り、骨の変形や炎症(関節炎)を引き起こす進行性の病気です。発症初期は、歩き始めに膝の痛みを感じ始め、徐々に症状が進行していきます。疾患の進行度による症状の特徴は以下のとおりです。
● 初期:立ち上がりや歩き始めなど、動作の開始時のみに痛みを感じる(動作開始時痛)。
● 進行期:正座や階段の昇り降りが困難になる。
● 末期:安静時や夜間にも強い痛みが生じ、膝の変形が目立ち、歩行が困難になる。
ただし、7~8割の人は痛みを生じないという報告もあり、必ずしも上記の特徴に当てはまらないケースもあります。
また、痛みを避けて膝を動かさない生活をしている方は、筋力低下や関節硬化が進み、さらに痛みが増す「悪い循環」に陥る可能性もあるため注意しましょう。
変形性膝関節症の特徴について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
変形性膝関節症|はちや整形外科病院
治療法
変形性膝関節症治療の目的は、痛みの軽減、膝関節の機能の維持・改善、および症状の進行を遅らせることです。治療方針を選択する際には、原則として保存療法を第一選択肢として考え、痛みなどの症状が進行した場合には手術療法を検討します。
<主な保存療法の種類>
● 薬物療法
● 装具療法
● リハビリテーション
● 物理療法
上記の保存療法を実施しても痛みが緩和されず、日常生活が困難になった場合には、手術が検討されます。
変形性膝関節症の手術として代表的なものは以下のとおりです。
● 関節鏡視下手術:膝に小さな穴を開け関節内の傷んだ箇所を整える
● 高位脛骨骨切り術(HTO):すねの骨を切って変形を矯正する
● 人工膝関節置換術(TKA):関節を金属や樹脂に置き換える
手術を行ったあとの機能回復を促進するためには、術後のリハビリテーションが重要です。そのため、術後翌日からベッド上でのリハビリテーションを始めるのが一般的です。
変形性膝関節症リハビリの種類
変形性膝関節症のリハビリには、運動療法と徒手療法、物理療法の3つがあります。各リハビリ内容と効果、目的などを詳しく解説します。
運動療法
運動療法の主な目的は、膝を支える筋力を鍛えて安定性を高め、膝の動きを改善することです。また、膝の安定性を高めることで痛みの軽減を図る効果も期待できます。
運動療法は、主に以下の3つの要素で構成されます。
- 柔軟性向上:関節の可動域を広げ、膝の曲げ伸ばしの動きを良くする運動や、太ももの前後、内側の筋肉のストレッチを行います。
- 筋力強化:特に大腿四頭筋(太もも前面)、内転筋、中臀筋、ハムストリングスなどの膝関節周囲の筋肉を鍛えます。
- 全身の体力維持:体重のコントロールや体力低下を防ぐため、膝に負担をかけにくい水中ウォーキングなどの有酸素運動を行います。
変形性膝関節症のリハビリとして運動することは大切ですが、痛みや辛さを感じる強さの運動は逆効果です。専門家の意見を聞きながら、無理のない範囲で運動を続けましょう。
従手療法
徒手療法とは、理学療法士などの専門職が直接触れて行う治療法です。主に関節の動きを改善するために実施されます。
また、筋肉や関節に直接触れられるため、その日のコンディションに合わせて柔軟に対応できるのも特徴です。各理学療法士の専門性を生かして実施されるため、決まった方法ではなく臨機応変に手技が変わります。
徒手療法は、変形性膝関節症リハビリを構成する重要な要素の一つであり、運動療法や物理療法と組み合わせて実施されます。
物理療法
物理療法は、機器を用いて実施される治療法です。理学療法のひとつであり、運動療法や徒手療法、薬物療法などと組み合わせて実施されます。
主な目的は、変形性膝関節症によって生じた痛みを和らげることや、筋肉の活動を高めることです。代表的な物理療法には、温熱療法や電気刺激療法、超音波療法などがあります。いずれも血行の改善、筋の緊張や痛みの除去などを目的として行います。
自宅でできる変形性膝関節症のリハビリ
自宅で簡単なリハビリに取り組むことで、変形性膝関節症の進行を遅らせる効果が期待できます。ここでは、自宅でもできる簡単なリハビリを紹介します。
膝関節のストレッチ
変形性膝関節症対策のストレッチでは、膝関節の可動域を広げ、柔軟性を高める効果が期待できます。膝を伸ばしやすくすることで負担を減らすことができます。また、筋肉の緊張をほぐし、血行改善にもつながります。

<方法>
1.膝を伸ばして座る
2.つま先にタオルをかけて、自分の身体の方へ引っ張る
3.ふくらはぎや太もも後面が心地よく伸びる程度で15~20秒間キープする
4.3回程度繰り返す
ただし、痛みや辛さを感じる強さのストレッチは逆効果となるため、痛みがない範囲で行うことが重要です。
呼吸を止めずに無理のない範囲でゆっくりと行いましょう。また、痛みがある方は、必ず医師や理学療法士などの専門家に相談してください。
大腿四頭筋の筋力トレーニング
大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)を鍛えることは、痛みのある膝関節を保護し、膝の安定性を高めるために重要です。この訓練は膝の痛みを和らげる効果も期待できます。


<方法>
1.椅子に浅く腰掛け、片足ずつ膝がまっすぐになるまで持ち上げ、5~10秒間キープする。
2.ゆっくりと元の姿勢に戻す。
3.左右10~15回繰り返す
運動中は息を止めないように注意し、痛みや疲労を感じた際にはすぐに中止しましょう。また、運動内容や回数は、膝の状態によって異なるので、医師や理学療法士に相談してから始めるのがおすすめです。
変形性膝関節症リハビリの注意点
変形性膝関節症のリハビリは、自宅で実施することもできます。しかし、専門家が近くにいない環境で運動をする際には、膝へ過剰な負荷がかからないように注意することが大切です。
膝に負担をかけない動作を心掛ける
変形性膝関節症の症状緩和を目指す方は、特別なトレーニングを行うだけでなく、日常生活の動作を見直すことも大切です。生活動作の中で膝への負担を軽減する工夫を続けるだけでも、症状の進行を遅らせられます。
たとえば、椅子からの立ち上がり動作では、膝が足先よりも前に出ないよう、真っ直ぐ立ち上がることを心掛けることが大切です。
また、しゃがむときに膝が痛む場合は、まず片膝をついてからしゃがむと膝への負担を最小限に抑えられます。
階段昇降時の膝への負担を減らすためには、昇るときは痛くない足を先に、降りるときは痛みのある足から先に出すと良いでしょう。
歩き始めに膝が痛む方は、少し足踏みをしてから歩き始め、杖を使用する場合は痛みがある側と反対の手に持つと効果的です。
低い椅子からの立ち上がりや正座などの動作は、膝関節に過度な負担をかけ、痛みが強くなる可能性があります。
体重が増加しないようにする
変形性膝関節症のリハビリでは、体重管理も重要です。体重が増加すると膝への負担が著しく大きくなり、膝関節には体重の4~6倍の負荷がかかるともいわれています。
そのため、肥満が変形性膝関節症の症状を増悪させる主要因となるケースもあります。体重増加によって変形性膝関節症の症状が増悪しているケースでは、体重が減るだけでも痛みの軽減が期待できるでしょう。
体重の減少を目指す際は、膝に負担をかけずに実施できる自転車や水中ウォーキングなどの有酸素運動を継続的に行うのがおすすめです。まずは食事のバランスを整え、ゆっくりとしたペースで減量に取り組みましょう。
間食を控える、夕食の量を抑える、野菜を多く摂取するなど、食習慣の見直しを行うところから始めるのがおすすめです。
変形性膝関節症のリハビリは専門の病院に相談
変形性膝関節症のリハビリでは、膝周囲の筋力強化や柔軟性向上を目指して運動療法や徒手療法などを行います。また、運動だけでなく、日常生活の中で食事に注意して体重が増加しないようにすることや、膝へ負担のかかる動作を避けることも大切です。
変形性膝関節症の症状は、1人ひとり異なります。リハビリを行う際には、専門の医療機関に相談しながら行いましょう。
また、痛みが改善しない方は、実績のある専門医療機関で手術療法を受けることも大切です。
はちや整形外科病院は、人工膝関節全置換術(TKA)や人工膝関節単顆置換術(UKA)など数多くの膝関節手術を実施してきた専門性の高い病院です。
変形性膝関節症のリハビリについて相談したい方は、お気軽にご相談ください。

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