冬になると大腿骨近位部骨折をはじめとする骨折が増えると言われています(※1)。体がこわばることや雪道などですべって転倒することにより、大腿骨だけでなく脊椎の圧迫骨折を起こす場合があります。
圧迫骨折とは、尻もちをついたり、くしゃみをしたりといった日常の動作によって、せぼねを構成する骨(椎体)に強い負荷がかかり、骨が押しつぶされるように変形・骨折してしまう状態をいいます。
特に骨粗しょう症などで骨が弱くなっている場合、軽い衝撃でも発生しやすい骨折です。
当院では圧迫骨折に対して2023年から2024年までの2年間平均で160件の手術を行いました。
BKPは1椎体につき30分ほどの短い手術で、入院も1泊2日程度の短期間となるため(※2)、ご高齢の方も多く受けられている手術です。
圧迫骨折・BKPについてはこちら:脊椎圧迫骨折(胸椎・腰椎圧迫骨折)とは?症状や原因・治療法を解説
BKPは、脊椎関連の学会が定めた適正使用指針(※3)にて「骨粗しょう症の骨折などの治療について十分な知識と経験を持ち、対象となる機器の研修プログラムを受講しその修了書を取得した医師」でないと実施できない手術とされており、治療ができる医療機関が限られています。
このたび、当院の吉岡 淳思医師がBKP指導医の資格を取得し、当院でBKP研修プログラムを実施できることとなりました。多くの整形外科の先生にBKPを習得していただき、圧迫骨折で悩む多くの方の助けになれるように努めています。

また、圧迫骨折は「いつのまにか骨折」、「ドミノ骨折」とも言われ、骨粗しょう症で骨がもろくなっていると、せっかくBKPで治療したとしても気がつかないうちに他の椎体も骨折を起こしていることがあります。
当院では手術を行うだけでなく、近隣の医療機関とも連携し、手術後の患者さんが再骨折をおこさないよう骨粗しょう症治療を継続していただけるような取り組みも行っています。気になる症状がありましたらぜひご相談ください。
※1 Committeeon Osteoporosis of The Japanese Orthopaedic Association. Nation wide one-decade survey of hip fractures in Japan. J Orthop Sci, 2010;15:737-745.
Committee for Osteoporosis Treatment of The Japanese Orthopaedic Association. Nation wide survey
of hip fractures in Japan. J Orthop Sci, 2004;9:1-5.※2 圧迫骨折の度合いによりBKPの適応にならない場合、手術時間・入院期間が長くなる場合があります。
※3 日本脊椎脊髄外科学会・日本脊髄外科学会合同椎体形成術ワーキンググループ「経皮的後弯矯正術(BKP, VBS) 適正使用指針」より