検診やレントゲン診断で軽度の側弯症と診断され、病気の特徴や将来について不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、軽度の変性側弯症の特徴や自宅でできる習慣やストレッチ法などを解説します。
なお、変性側弯症の原因については、別記事でもご紹介しています。詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
脊椎 腰椎変性側弯症はなぜ起こる?発症原因や症状、具体的な治療法を解説
軽度の変性側弯症とは
側弯症とは、背骨を正面から見た際に左右どちらかに10度以上曲がっている状態を指し、側弯している角度が20度未満のものを軽度と診断します。
なかでも変性側弯症は、加齢に伴って椎間板や椎間関節が変性する脊椎疾患です。
ただ姿勢が悪いだけでなく、骨格から変形してしまうため、重症化すると肺活量の低下や息切れ、足のしびれなどが出現する可能性もあります。
変性側弯症の特徴
変性側弯症の主な症状は、腰や背部の痛みです。また、外見上の変化としては、以下の点が挙げられます。
- 左右の肩の高さが違う
- 背中を丸めたときに、片方の肩甲骨や背中が盛り上がる(肋骨隆起)
- 自然に腕を垂らしたとき、脇腹と腕の隙間に左右差がある
- 夕方腰が伸ばせなくなる
- 左右のくびれの高さが違う

変性側弯症は、単に背骨が左右に曲がるだけでなく、背骨のねじれ(回旋)を伴うことも多いため、進行すると肋骨の動きが制限され、心肺機能に影響を及ぼす可能性もあります。
また40歳以降の中高年の方は、加齢による背骨の老化(椎間板や椎間関節の変性・摩耗)によって変性側弯症を発症する可能性があるのも特徴です。骨粗しょう症と診断された方など骨が弱くなっている方は、特に注意しましょう。
変性側弯症(側弯症)の診断基準
側弯症の診断において重要な指標となるのが、レントゲン検査で測定される「コブ角(Cobb角)」です。
コブ角(Cobb角)とは、背骨のなかで最も傾いている上下の椎体から引いた線の交差角度を指し、この数値によって重症度が分類されます。
- 軽度(10度〜20度未満):定期的な経過観察が中心。
- 中等度(25度〜40度前後):進行防止のため、装具療法(コルセット)が検討される。
*加齢による変性側弯症の場合においてはコルセットの効果は限定的。 - 重症(40度〜50度以上):腰痛や心肺機能への影響を考慮し、手術療法が検討される。
変性側弯症の診断は、専門的な知識を持った医師が行います。
成長期の側弯症と変性側弯症の違いは?
成長期での側弯症では、自覚症状がないのに対し、変性側弯症では腰痛などの痛みやしびれなどの症状をはっきりと自覚しやすい傾向があります。また加齢による椎間板や椎間関節の変性、腰椎すべり症、腰椎圧迫骨折や骨粗しょう症など併発しているケースもあります。
成長期の側弯症と変性側弯症では、治療方針の違いも特徴的です。成長期の側弯症では、装具などを使用した姿勢矯正を行うのに対し、変性側弯症は痛みの緩和や日常生活での改善を目的に行われます。
変性側弯症(側弯症)のセルフチェック方法
腰の痛みやゆがみで変性側弯症が疑われる場合、姿勢などで変性側弯症のセルフチェックすることも可能です。側弯症の代表的なセルフチェック法として「アダムス前屈テスト」があります。
【アダムス前屈テストのやり方】
1.両足を揃えてまっすぐ立ち、手のひらを合わせて腕をだらりと下げる。
2.そのままゆっくりとお辞儀をするように体を前に倒していく。
3.後ろから背中を観察し、左右どちらかの肋骨や腰のあたりが盛り上がっていないかを確認する。

アダムス前屈テストの他にも、以下のような事象が該当する場合は変性側弯症に注意しましょう。
- 直立した状態で肩の高さが左右で違う
- 腰のくびれ方が左右非対称
- 長時間立っていると腰や背中が痛む
- 歩行時に脚に痛みやしびれが出る
上記の特徴は、軽度側弯症のサインである可能性があるため、違和感を覚えたら早めに整形外科を受診しましょう。
軽度の変性側弯症の治療方法
変性側弯症の診断を受けた方は、まず定期的な経過観察と保存療法での改善を目指します。また日常生活に支障をきたしている場合には、手術療法も検討されます。
変性側弯症の保存療法とは
軽度の変性側弯症では、まず薬物療法や装具療法、硬膜外・神経ブロック注射などを検討します。各治療法の概要は以下のとおりです。
- 薬物療法:腰痛などの痛みや足のしびれなどの「症状」に対して行う対症療法です。
- 硬膜外・神経ブロック注射:痛む部位の神経付近に麻酔薬を注射することで、痛みを取る治療法です。
変性側弯症の保存療法では、装具療法で腰椎の変形を抑えつつ、理学療法士の指導のもとで運動療法を実施していくのが一般的です。
軽度の変性側弯症は改善できるのか
大人の場合は、すでに骨の形が固まっているため、骨自体の曲がりを完全にゼロにすることは困難です。ただし、大人であっても背骨を支える筋肉のバランスを整えることで、見た目の改善や進行の停止、腰痛などは解消できる可能性があります。
「もう年だから治らない」と諦めるのではなく、現在の角度を維持し、歩くときの腰痛や足のしびれ、歩行能力の改善といった生活上の不調を取り除き、症状とうまく付き合うことが大切です。
自宅でできる軽度の変性側弯症のトレーニング
変性側弯症では、体幹や臀筋(お尻の筋肉)のトレーニングが、症状の緩和や進行に対し有効なことが分かっています。ここでは、自宅で簡単にできるトレーニングの方法をご紹介します。
ドローイン(呼吸法)
ドローインは、お腹の深層部にある腹横筋(ふくおうきん)を鍛える呼吸法です。側弯症の方は、背骨を支える体幹の筋力が低下しやすいため、このインナーマッスルを活性化させることが大切です。
【ドローインのやり方】
1.仰向けに寝て膝を軽く立て、リラックスします。
2.鼻から大きく息を吸い込み、お腹を膨らませます。
3.口からゆっくりと息を吐きながら、お腹を極限まで凹ませます。
4.お腹を凹ませたまま、浅い呼吸を30秒ほど繰り返します。
ドローインを行う際には、背中と床の隙間を埋める意識を持つことが大切です。力んで肩が上がらないよう注意し、1日5回程度を目安に継続しましょう。

ハンドニー(体幹の安定性向上)
ハンドニーは、四つ這い姿勢で手足を交互に上げることで、体幹の深層筋(腹横筋・多裂筋)を鍛えるトレーニングです。側弯症では背骨を支える筋肉の左右差が出やすいため、体幹をまっすぐに保つために有効なトレーニングです。
【ハンドニーのやり方】
1.四つん這いになり、背中をまっすぐに保ちます。
2.右手と左脚をゆっくり持ち上げ、水平に伸ばす。
3.2.の姿勢のまま、体が左右にぶれないように10秒キープします。
4.反対側(左手と右脚)も同様に行います。
ハンドニーを実施する際には、腰が反らないように注意し、無理のない範囲で行いましょう。

サイドプランク(左右のバランス改善)
サイドプランクは、体の側面にある腹斜筋や腰を支える腰方形筋などの筋肉を鍛えます。側弯症によって崩れた左右の筋力バランスを整えるのに効果的です。
【サイドプランクのやり方】
1.横向きに寝て、下側の肘を肩の真下について上半身を浮かせます。
2.両足を重ねるか前後にずらし、ゆっくりと腰を持ち上げます。
3.頭から足先までが一直線になるよう意識し、10秒キープします。
4.反対側も同様に行います。
最初は、腰が持ち上がらなくても大丈夫です。無理のない範囲で脇腹に力を入れることが大切です。無理な運動をすると、腰痛などが悪化する可能性があるため、専門の医師などに相談しながら自宅で運動しましょう。

キャット&ドッグ(背骨の柔軟性向上)
キャット&ドッグは、背骨全体の可動域を広げ、側弯症によって固まりやすい背中や腰周りの柔軟性向上が期待できるトレーニングです。実践する際には、背骨一つひとつの節を動かすイメージで行うことが大切です。
【キャット&ドッグのやり方】
1.四つん這いになり、手は肩の真下、膝は股関節の真下に置きます。
2.息を吐きながら背中を高く丸め、おへそを覗き込みます(キャット)。
3.息を吸いながらゆっくりと背中を反らせ、斜め上を向きます(ドッグ)。
4.この動作をゆっくりと5〜10回繰り返します。
キャット&ドッグを行う際には、呼吸に合わせて滑らかに動きましょう。無理に反らしすぎず、心地よい伸びを感じる範囲で行うことが大切です。背中や腰などに違和感があれば、すぐに中止して、専門の医療機関へ相談しましょう。

胸椎回旋ストレッチ(胸郭の柔軟性改善)
胸椎回旋ストレッチは、胸椎(胸の背骨)のねじり動作を改善し、側弯症で固まりやすい胸郭周囲の柔軟性を高めるトレーニングです。背骨全体の動きが滑らかになり、姿勢の改善にもつながります。
【やり方の流れ】
1.横向きに寝て、膝を軽く曲げる。
2.両腕を前に伸ばし、上側の腕をゆっくり後ろへ開く。
3.胸が気持ちよく伸びる位置で10〜20秒キープ。
4.反対側も同様に行う。
痛みが出るほど大きくねじらず、呼吸を止めないことがポイント。

軽度の変性側弯症の注意点
変性側弯症をはじめ、側弯症には、具体的な予防法、また特効薬的な治療方法はありません。しかし、生活習慣を見直すことで、症状の進行を防止できます。変性側弯症の悪化を防ぐためには、以下の3つのポイントに注意しましょう。
- 左右非対称な姿勢を避ける:常に決まった側でカバンを持つ、足を組む、片足に重心をかけて立つといった動作は、筋肉のバランスをさらに崩す原因となります。
- 自己判断での激しい運動:自己流の激しい運動や、体に強い衝撃がかかる運動などは、脊椎に負担をかけ症状を助長させる恐れがあります。
- 無理な姿勢:長時間の猫背や、首を前に突き出した姿勢は、背骨を支える脊柱起立筋を疲弊させ、骨格の変形を進行させる可能性もあります。
軽度の変性側弯症の治療は専門家の助言を受ける
軽度な変性側弯症では、生活習慣やセルフトレーニングなどに取り組むことで症状の進行を防ぐことも可能です。治療方針については、姿勢の矯正ではなく、痛みの緩和を目的とした患者様の負担が少ない治療方法もあります。
変性側弯症の症状悪化に不安を抱えている方は、専門的な医療機関へ相談し、対処法のアドバイスをもらうことが大切です。変性側弯症の治療についてお悩みの方は、はちや整形外科病院にご相談ください。


